このガイドの位置づけ
アメリカで働き始めるとき、本当に必要な情報は「店選び」だけではありません。渡米前に何を準備し、現地に着いてからどう動くか——ここで詰まる方が想像以上に多いので、23年見てきた経験から、生活立ち上げの実務をまとめました。
チェックリスト形式で読める構成にしています。気になる項目だけ拾い読みでも構いません。
渡米前に準備しておくこと(チェックリスト)
渡米直前にまとめてやろうとすると確実にどれかが抜けます。出発の1ヶ月前から少しずつ進めるのがおすすめです。
書類・お金まわり
- パスポートの残存期間:滞在予定+6ヶ月以上あるか確認。残り少ないと再発行に2〜3週間かかります。
- クレジットカード2枚以上:1枚は予備として別管理。VISA/Mastercardは必須、Amexは使えない店もあります。
- デビットカード:現金引き出し用に。海外手数料の安いカード(Wise・Sony・SBIなど)が便利。
- 現金 $300〜$500:到着直後のチップ・タクシー・食事用。両替は日本の方がレートが良いことが多いです。
- 海外旅行保険:クレカ付帯のもので足りるケースも多いですが、補償内容を必ず確認。歯の治療は対象外がほとんど。
通信
- SIMロック解除:日本のキャリアで購入した端末は出発前に解除。手数料0円〜3,300円。
- LINEの引き継ぎ準備:電話番号が変わってもアカウントを保持できるように、メールアドレス登録・パスワード設定・電話番号認証OFFを確認。
- 連絡用のSIM/eSIM:到着初日から繋がるよう、日本で eSIM(Airalo / Ubigi など)を入れておくと安心。1ヶ月$15〜$25程度。
生活・身の回り
- 歯科治療:アメリカの歯科は高額(保険なしで$200〜$500/回)。気になる箇所は日本で済ませる。
- 常備薬:頭痛薬・胃薬・生理痛・風邪薬など普段使うものを2〜3ヶ月分。アメリカの薬は日本人には強いことが多いです。
- コンタクト・メガネ:処方箋なしでは買えないので、滞在期間分を持参。
- 化粧品・スキンケア:気に入っているものは持参。アメリカでも買えますが価格は1.5〜2倍が普通。
- 変換プラグ/変圧器:プラグ形状はAタイプ(日本と同じ)でOK。電圧は120Vなので、日本の家電は基本そのまま使えますが、ドライヤーなど高ワットのものは現地で買うのが安全。
到着後 1週間でやること
渡米直後の1週間は、生活インフラを整えるための時間と割り切ってください。仕事のスタートを少し遅めに調整できる店もあるので、面接時に伝えておくと楽です。
- 寮・滞在先のルール確認:洗濯機・キッチン・Wi-Fi・鍵の運用。共同生活ならハウスルールを最初にすり合わせるとトラブルが減ります。
- 現地SIM契約 or プリペイド購入:T-Mobileのプリペイド($40〜/月)が日本人には人気。AT&T・Verizonは契約に SSN が必要なことが多くハードル高め。
- 銀行口座の検討:開設にはパスポート+住所証明が必要。Chase・Bank of Americaが日本人駐在員にも一般的。SSNが無くても開設可能なケースがあるので、店経由で紹介を受けるのが早いです。
- 近所の歩き方を覚える:スーパー・ドラッグストア・コインランドリー・ATMの場所をGoogleマップでブックマーク。
- 緊急連絡先のメモ:寮の管理人、店のスタッフ、私(アメキャバのLINE)、最寄りの病院。スマホがダウンしたとき用に紙でも控えておく。
移動:Uber/車/運転免許
都市によって正解が違います。
LA:基本は車社会、未経験者はUber併用
LAは公共交通が弱く、車があると生活が一気に楽になります。ただ短期滞在で車を買うのはハードルが高いので、最初は Uber/Lyft+店の送迎で十分回ります。1日$20〜$40程度の交通費が目安。長期で滞在するなら、中古車($5,000〜$10,000)の購入を視野に。日本の運転免許とInternational Driving Permit(国際免許)で1年間運転可能です。
NY:Uber+地下鉄+徒歩
マンハッタン内なら車は完全に不要です。地下鉄($2.90/回、月$132の定期あり)、Uber、徒歩で全部回ります。深夜の地下鉄は避けてUberを使う方が安全。出勤・退勤は店の送迎を使えるケースが多いです。
医療と保険:これだけは知っておく
アメリカの医療費は日本の感覚で考えると衝撃的です。風邪で診察を受けるだけで$150〜$300、救急車を呼ぶだけで$1,000を超えるケースもあります。「なんとかなる」ではなく、必ず保険でカバーしてください。
- クレカ付帯の海外旅行保険:90日まではこれで足りる場合が多い。利用条件(出国前にカードで航空券を買うなど)に注意。
- 長期向け海外旅行保険:3ヶ月以上滞在するなら、ジェイアイ傷害火災・東京海上日動などの長期プラン(月1万円〜)を検討。
- 歯科は別建て:旅行保険の多くで歯科は対象外。日本で先に済ませてくる、これに尽きます。
- 日本語で診てもらえる病院:LAは「南カリフォルニア大和診療所」など、NYは「Japanese Medical Care」など、日本語対応の医療機関があります。具体的な紹介はLINEで対応します。
食事:自炊・外食・日系スーパー
毎食外食は財布が持ちません。LAの外食相場はランチ$15〜$25、ディナー$30〜$60が普通。NYはさらに高く、ランチでも$20〜$30が標準ラインです。
- LAの日系スーパー:ミツワ、マルカイ、ニジヤ。トーランス周辺に集中。日本の食材がほぼ揃います。
- NYの日系スーパー:ミツワ(NJ)、サンライズマート(マンハッタン)、片岡(クイーンズ)など。LAほど大型ではありませんが、必要なものは揃います。
- 自炊が苦手な方の現実解:寮にレンジと冷蔵庫があるなら、Trader Joe'sの冷凍食品・サラダで凌ぐのが楽。1食$5〜$10で済みます。
- デリバリー:DoorDash、Uber Eats、Grubhubが主流。チップ込みで割高になるので、毎日使うと月$1,000以上飛ぶことも。
治安と防犯:日常で守る5つのルール
深刻な治安トラブルに遭った方は、私のサポート歴では一人もいません。理由は単純で、下のルールを守ってもらっているからです。
- 夜の単独徒歩はしない:仕事帰りは必ず店の送迎かUberを使う。「ちょっとそこのコンビニ」が一番危ない。
- スマホを歩きながら見ない:特にNY。引ったくりの定番ターゲットです。確認したいときは壁際に寄って立ち止まる。
- 現金を持ち歩きすぎない:必要なときだけATMで下ろし、家には$200以上置かない。
- 住所をSNSに上げない:寮の前で写真を撮ってSNSに上げると、住所が特定されることがあります。
- 違和感を感じたら即離れる:駅・道・店、どこでも「なんか嫌だな」を信じる。直感で動く方が安全です。
メンタル・ホームシック対策
身体より先に来るのはメンタルです。1ヶ月目までは新鮮さで持ちますが、2〜3ヶ月目に「日本に帰りたい」が来る方が一定数います。これは弱さではなく、ほぼ全員が通る道なので、知っておくだけで対処しやすくなります。
- 同じタイミングで来た仲間を作る:同期がいるだけで圧倒的に楽になります。
- 家族・友人とのビデオ通話を週1で固定:「気が向いたら」だと続きません。曜日・時間を決める。
- 運動を1日30分:ジムでも散歩でも。メンタルに直結します。
- 「合わない」と感じたら相談:無理して続けるよりも、店を変える・帰国するのも選択肢です。私が間に入って調整します。
帰国時にやること
帰国の1〜2週間前から準備を始めると慌てません。
- 銀行口座は維持か解約か決める:将来また渡米するなら維持。月手数料の有無を確認しておく。
- 携帯のプリペイド残高を使い切るor解約手続き。
- 不要な荷物を処分:寮を出る2〜3日前から少しずつ。日系コミュニティの掲示板で譲渡できる場合もあります。
- 送金:稼いだ分の送金は、帰国直前にまとめてやるよりも、月1〜2回に分けるほうがレートリスクを抑えられます。
- 帰国後の再入国に備える:次の渡米予定がある場合、出入国記録の保存を忘れずに。
最後に:困ったら、すぐ連絡してください
「こんなこと聞いていいのかな」と迷うようなことほど、早めに相談してください。23年の現場で、ほぼあらゆるパターンを見てきました。一人で抱え込んで悪化するケースが一番厄介で、一番もったいないです。
このガイドはあくまで一般論です。あなた自身の状況・店・タイミングによって、正解は変わります。LINEなら24時間以内に返信します。